伊勢神宮の祈年祭

伊勢神宮の祈年祭
 
日本にはあまたの宗教施設があります。
仏教系、神道系、キリスト教系、イスラム教系と種類も幅広く、数えればきりがないように感じることでしょう。
 
しかし、大小さまざまな寺社仏閣の中には「別格」とされるお宮があります。
国教としての神道においてそれは「伊勢神宮」にほかなりません。
2013年の第62回式年遷宮を境として一般の参拝客が膨れ上がり、すっかり日本有数の観光スポットになった場所です。
 
伊勢神宮は日本全国で登録された78,954社の神社すべての頂点に立つ本宗(ほんそう)として位置しており、四季折々に実施される祭祀には重要な意味があります。
例えば「祈年祭(としごいまつり・きねんさい)」の場合、春の耕作はじめに際して方策を請い願う祭祀です。
古くから水耕と共に生きてきた日本人は、農作物の出来不出来に命を左右されました。
 
初春の祈願としての「祈年祭」は晩秋の豊穣を感謝する「新嘗祭」と対に位置づけられ、平成28年の「祈年祭」は2月17日(水)に、新嘗祭は11月23日(水)に予定されています。
祭りの日に参拝すればより大きなご利益に触れられるかもしれませんよ。
もしご都合がよろしければ伊勢神宮に参詣なさってはいかがでしょうか。
 

祈年祭と相剋

祈年祭と相剋
 
陰陽道に伝えられるさまざまな祭祀は、基本的に陰陽五行の思想によって成り立っています。
占い、まじない、厄除け祈願。
全て根本は同じところにつながっているのです。
「別格」である伊勢神宮においてはより一層厳密に五行の理論で祭祀を計画しています。
 
祈年祭の開催は旧暦と現歴の変遷の中で幾度か移動しましたが、陰陽道の観点から見るとこの決定には北斗七星の位置が大きく関わっています。
祈年祭の奉幣が定められる時刻の星座を見てみると、記録されている中では必ず北斗のすべての星が水気(すいき)の方位にありました。
水刻火。
水生木。
木気に属する早春の事始めに水気を取り込んで木気を相生して興し、1年の豊穣を祈る訳です。
 

1年を占う正月遊び

 
寅月である正月から卯、辰と木気の配当が続きます。
1月は春の始めであり、古い正月遊びの多くには1年を占う意味がありました。
 
■ 凧揚げ
新春の凧揚げは男児の無病息災を祈り、健やかに成長するようにと願う意味があります。
うまく揚がるかどうか、どこまで天に揚がるか、もちろん揚げ手の技量にかかっている部分ではありますが、凧の揚がりっぷりで子供の1年を占いました。
 
■ 福笑い
1年の始めに笑いを呼び込み、明るく過ごせるようにという意味があります。
縁起のいい絵柄が多く、正確に顔を再現するよりも、より面白みのある表情が歓迎されます。
笑っているように見えるかどうか、出来上がった表情にも1年を象徴する解釈が付属します。
 
■ 羽根つき
子供が病気を患わない。1年の厄をはねる。子供の健やかな成長を祈り、厄を呼び込む魔を払う意味がありました。
羽根つきで羽根を落したら顔に墨を塗ると言う罰ゲームがありますが、これもまた厄除け祈願の一環です。
 
他にもお正月の遊びは沢山ありますが、多くが同様に子の無病息災を祈る内容でした。
かつては日本でも子の多くが幼いうちに命を落としましたから、毎年冬を超えて春を迎えた喜びははかりしれないものだったのでしょう。
 
今では医療技術の進歩と共に子供たちの生存率は非常に高まっています。
それでも不測の事態はいつ起こるとも限りません。
伊勢神宮の参拝や、こうした呪術的な遊びを日々の中に取り込んだり、または厄を予測する占いを利用するなど、問題のない時こそ考え得るリスクに備えるタイミングなのではないでしょうか。
 
取り立てて心配がないならば身構えて何かを計画する必要はありません。
気軽に、縁があって目に入った工夫から取り入れてみることをおすすめします。